柏レイソルに見たおっちゃんラーテルの「原風景」

2018/01/11 writer:ラーテル

私は「サッカーにかかわりたい」という強い思いから、25年間務めた会社を辞めてしまいました。

この「サッカーにかかわりたい」と思えたきっかけは漠然として感覚ではなく、うつ病を患い休職中にあった私がある原風景と遭遇したことが大きく影響しています。

今日はその原風景が何だったのか、それについて書いていきます。

 

サッカーを観に行きたい

2017年4月から会社を休職していた私は、どこへ行くでもなくただ家でジッとしていました。

休んでしまっている職場の状況も心配、だけど体調はすぐれない、何かをする気が起きてこない。そんな日が続いていました。

しかし、本当にふとした思いからサッカーを観に行こうと思ったのです。

私はこの世代としては珍しく小学生時代からサッカーを始め、大学4年までサッカー部でプレーしていました。

サッカー観戦も大好きで、小学生~中学生時代は日本サッカーリーグを毎週のように観に行き、大学の卒業旅行ではイタリアやドイツでセリエAやブンデスリーガの観戦旅行。

社会人になってからも独身時代には何度もヨーロッパへ観戦旅行をするほど。

そんな私にとってずっと心の中にあったサッカーと、この時触れ合いたいと思ったのかも知れません。

2017年4月8日 日立台サッカー場で遭遇した私の原風景

柏レイソルの本拠地「日立柏サッカー場」は現在の住まいから車で30分。

4月8日にJリーグの試合がある事を確認し妻と一緒に「柏レイソル対清水エスパルス戦」を観に行くことになりました。

単に気分転換。それ以上の意味はないと思っていました。

しかしこの日、日立台へ行ったことが私にちょっとした衝撃を与えます。

 

普通の服でそこにいる事が申し訳なく感じるほどの黄色着用率の高さ。

連れられて来ているチビちゃんは勿論、じいちゃん、ばあちゃんまでもが「サッカー場」で楽しそうに過ごしている光景。

ハーフタイムになると喫煙所のそこかしこで始まるサッカー談義。

ゴール裏に陣取るサポーターの想像以上に大音量な歌声と歓声。

 

私にとってこれらの風景は「懐かしい場所に帰って来た」と思えるものでした。

大学生の頃にローマのスタディオ・オリンピコで感じた「サッカーが愛されている空間に身をおける幸福感」それに似た感覚を覚えました。

そして何だか、すごくホッとしたんです。

 

人生で初めて「ホームチーム」と呼べるクラブが出来た

私が柏レイソルのホームタウン(柏市ではないので正確には準ホームタウンですが)である現在の住まいに転居してきたのは2016年3月。

それまでは長く東京都内に住んでいました。

東京にもFC東京や東京ヴェルディといったJリーグクラブはありますが、それらを自分のホームチームと思えたことはありません。

どちらのチームも本拠地は調布の味の素スタジアム。練習場は小平や稲城。「東京」と名前がついていてもそれが指す地域は「多摩エリア」なんですよね。

Jリーグ創設以来、何度もスタジアムへ足を運んではいましたが、特に肩入れするクラブはなく、本気になって応援出来るのは「日本代表」くらい。

ヨーロッパの各国リーグを現地で観戦した時にも感じた、地元クラブを応援しにくる人たちが楽しそうにしている姿はとても羨ましく、自分にそういう対象クラブが存在しないことに物足りなさを感じていました。

 

2017年4月8日に日立台で柏レイソルに感じた「原風景」は私のそうした心のスキマを見事に埋めてくれたのかも知れません。

 

自分が生活する地域に存在するJリーグクラブ。「ホームチーム」と呼べるクラブが46歳にして初めて出来たのです。

 

日立台へ通う日々が始まる

2017年4月8日のエスパルス戦で柏レイソルは0-2と負けてしまいました。

でも、そんな試合結果はどうでもよく「また来たい」と私は強く思います。

以来、今シーズンの柏レイソルホームゲームは全て日立台で夫婦観戦。

4月22日の第8節横浜F・マリノス戦以降は、「入場料がバカにならない!」とゴール裏自由席「柏熱地帯」で応援しています。

もちろん、アソシエイト会員(柏レイソルのファンクラブ)にも入会。試合のない週には日立台まで練習も何度か見に行きました。

私の黄色いユニフォームはいつしか選手達からもらったサインで埋め尽くされ、柏熱地帯で歌われるチャントもほとんど覚えてしまいました。

少しでも真ん中よりで見たいと、開門前から行列に並ぶのにもだいぶ慣れました。

そして、こうした日々が私の心を少しづつ、ほぐしていった気がします。

 

ついに大阪まで柏レイソルを追っかける

 ずっと柏レイソルのホームゲームしか観に行っていなかった私ですが、レイソルを通してサッカー界のあらゆることに改めて興味が向き始めていました。

そのひとつが「吹田スタジアムへ行きたい」という思い。

サポーターや支援者に寄付を募り、建設費用の多くをその寄付金でまかなったとされる、日本屈指のサッカー専用スタジアム「市立吹田スタジアム」。

そこでサッカーが観たい!

妻の理解もあり、この願いは2017年8月19日のJリーグ第23節「ガンバ大阪対柏レイソル戦」で叶いました。

ビジターエリアには、名前は知らなくても日立台ではよく拝見する顔ぶれ。大阪にいるのに、この感覚はとても新鮮!

そして、試合に勝ったあとのあの何ともいえぬ爽快感。

いつの間にか、私は柏レイソルを追いかけて大阪まで行ってしまったのです。

 

柏レイソルとの出会いが私の新しい世界を広げていく

柏レイソルと出会ったことで大阪にまで行ってしまった私。

現在では、その関心の対象がJ1リーグだけではなく、J2、J3にまで広がり、最近ではついにJFL、関東サッカーリーグといった地域サッカー(コミュサカ)にまで広がっています。

それぞれのスタジアムや試合会場では、サッカーを通して「幸せな時間」を過ごす人たちが大勢いることも知りました。

ただ、私はサッカーの力がまだまだ日本社会の中で十分に発揮しきれていないと感じてもいます。

サッカーが人の生活にあたえる彩りの素晴らしさを私は文章を書くことによって、広く伝えていきたい。

時には辛く厳しい現実に直面することもありますが、今の私には「サッカー」があるから耐えられるのです。

Writer:ラーテル

うつ病を患ったことに端を発し、「サッカーと強くかかわっていきたい」という強い思いから、25年勤めた会社を辞めた「駆け出し」のフリーライターです。

日本サッカーがあらゆる人々にとっての「幸せな生き方」を創造していけるものだと信じ、特に「日本サッカー界」をフューチャーしたブログを開設中。

「サッカーのある幸せな空間」を再認識させてくれた日立台への感謝を柏レイソルサポーターという形でお返ししています。