週間ストーブラジオ 第4回~J1王者サポに突撃SP~

2021/01/10 Writer:リセル

 始まりました「週刊ストーブラジオ」。

 こんばんは、Jサポライター部管理人でヴァンフォーレ甲府サポーターのリセルです。

 この連載コラムは、例年以上に厳しい冷え込みが予想されるストーブリーグを、Jサポの皆さんが少しでも楽しく温かい気持ちで乗り越えられるよう、ラジオ風味でお届けしていくコラムです。シーズン中なら試合があるであろう週末、毎週日曜日にこの「Jサポライター部」のサイト上に掲載しています。

 

 昨日はなんと本物のラジオ、FM甲府さんの番組に出演し、この「週刊ストーブラジオ」について語ってきました。私は原稿を用意して何とか話したのですが、パーソナリティーの岸則子さんの話術の巧みさ、話の引き出し方の上手さに「さすが本物は違う……!」と思いました。岸さんの手元に資料はあったのですが、もちろん原稿なんてものはない訳で。私には何十年経とうがたどり着けない境地です。

 

 さて、今回は「J1王者サポに突撃SP」と題しまして、昨シーズンJ1王者・川崎フロンターレのサポーターであるkuroさんをゲストにお迎えしました。

 昨年怒涛の快進撃を見せた川崎フロンターレですが、サポーターはどんな思いでシーズンを過ごしたのか非常に気になりますよね。12連勝なんて昨シーズン3連勝止まりだった甲府サポにとっては夢のようです……。

 そこで王者サポのメンタルや、昨シーズン限りで現役を引退した中村憲剛選手についてなど、色々お聞きしたいと思います。

 ちなみにkuroさんとは一昨年の甲府のホームゲームで偶然知り合いました。甲府駅でシャトルバスを待っている時に意気投合し、今も仲良くさせていただいています。

 

 

リセル「ではkuroさん、よろしくお願いします!そして川崎フロンターレ、リーグ戦と天皇杯の優勝おめでとうございます!」

 

kuroさん「ありがとうございます!チームが目標として掲げていた複数タイトルの獲得ができて、本当に素晴らしいシーズンになりました。」

 

 

◆2020シーズンを振り返って

 

リセル「リーグ戦の快進撃は本当に圧巻でしたし、天皇杯でもJ1チャンピオンとして素晴らしい戦いを見せてくれましたよね。川崎サポーターとして、2020シーズンを終えた今のお気持ちを聞かせてください。」

 

kuroさん「昨シーズンは開幕直後にコロナ禍で中断となり先が見えない不安を抱えての苦しいシーズンでしたね。そんな状況の中、鬼木監督が『こんなときだからこそ、優勝して川崎に明るい話題を届けよう』と熱く語ったことで選手が一致団結したと聞きました。その言葉通り、選手たちが目標を高く掲げ、現状に満足せず、常に闘う集団としてのプロ意識を見せ続けてくれたことに、本当に感謝の気持ちでいっぱいですね。」

 

リセル「昨年のフロンターレは誰が出ても強いですし、チームとして非常にまとまっている感じが素人目で見ても分かります。鬼木監督の言葉も素晴らしいですね。そして監督の言葉を完遂する選手達もまたすごい……。2020シーズン躍進の立役者は誰か一人というより全員、といった感じでしょうか?」

 

kuroさん「そうですね、選手全員だと思います。例えば昨年華々しい活躍を見せた三笘選手ですが、得意のドリブルにさらに磨きをかけることができた練習相手はイサカ ゼイン選手だそうで、昨年は残念ながら出場機会のなかった選手の技術力の高さ、献身性があってこそ実を結んだ結果だと思っています。またスタメンが変わるたびに、今日はこの組合せでどんなサッカーを見せてくれるんだろう?!という期待感も常にありましたね。」

 

リセル「試合に出られなかった選手も献身的にチームに貢献していたんですね。まさにチーム全員で掴んだ栄光ですね。スタメンが変わっても結果を出し続けることはなかなか難しい中、川崎は12連勝しました。なかなか連勝できなかった甲府サポとして気になっているのですが、連勝中はどのような気持ちで試合を迎えていましたか?」

 

kuroさん「そうですね、連勝は結果としてはもちろん嬉しかったのですが、試合への期待感とは裏腹に楽観的な安心感はなかったんですね。選手の自信に繋がってチームが波に乗っていければいいですが、反対にプレッシャーになりすぎて堅くなったり、ひとつつまづいたことで緊張の糸が切れてしまったりと反動で悪い方向に転ばないように、観てる方としても慎重になっていた部分はあったように思います。」

 

リセル「そうなんですね……!連勝を重ねると、私だったら『次も勝てるだろう』と楽観視してしまうかもしれませんが、慎重になっていくのは意外でした。ほぼぶっちぎりで独走状態になっても慎重になる気持ちは変わりませんでしたか?」

 

kuroさん「私の場合は、あまり変わらなかった気がします。というのも、今まで過去に何度も痛い思いをしてきているので…(苦笑)優勝が本当に決まるまでは一瞬たりとも油断してはいけないと、逆に息を潜めていたくらいです…ちょっと極端かもしれませんが。」

 

リセル「なるほど……。優勝まであと一歩だった、という経験があるからこそ、選手もサポも最後まで気を引き締めていたんですね。サポの心境が試合に直接影響するわけではないかもしれませんが、そういう引き締まったメンタルも強さの一因かもしれません。優勝が決まった時はどうでしたか?」

 

kuroさん「まずホッとしたのが正直なところです。安堵感が先に来て、優勝セレモニーを見ながらようやく、やったー!という歓喜の気持ちが弾けました。ホームで決められたのも嬉しかったですね。昨シーズン限りでの引退が発表された中村憲剛選手がキャプテンマークを巻いて出場し、シャーレを掲げている姿を見て、親心のようによかったよかった、と涙していました。」

 

 

◆中村憲剛選手について

 

リセル「お話にあった中村憲剛選手ですが、フロンターレサポーターにとって中村憲剛選手とはどのような存在ですか?」

 

kuroさん「存在が余りにも大きすぎて一言では表せないのですが、フロンターレを語る上で欠かせない名実ともに偉大な選手ですね。復帰後初ゴール、誕生日ゴールを決めたときに、等々力に神様はいた、と憲剛選手が言っていましたが、サポーターから見たら彼こそがまさに等々力の神様そのものだと感じています。そんな素晴らしい選手なのに、麻生練習場に訪れたときに私のような一サポーターにも気軽に応じてくれる親近感もあります。みんなに分け隔てなく接することができる人間性も魅力の一つですね。」

 

リセル「神様のような偉大な存在でも、サポーターが親近感を持てるくらいファンサービスが良いんですね……!好感度がさらに上がりました。先日の天皇杯のインタビューで憲剛選手が『世界一幸せなサッカー選手』と自分のことを言っていましたが、川崎サポーターからするとその言葉が幸せ、もっと言うと川崎に中村憲剛という選手がいること自体が幸せなのかな、と思いました。そして以前kuroさんに初めてお会いした時に話してくださった『憲剛の幸せが川崎サポーターの幸せ』という言葉を思い出しました。」

 

kuroさん「本当に仰る通りですね!憲剛が幸せならサポーターも同じように幸せ。憲剛がいるのが長年当たり前であったこと自体が改めて幸せなことだったのだとしみじみ実感している日々です。そして、初めてお会いしたときの言葉を覚えててくださり嬉しいです!初対面なのに気がつけば自分の深い思いをお話ししていたことを思い出していました。」

 

リセル「初優勝が決まって泣いた憲剛選手を見てフロンターレサポーターは泣いた、というお話もされていましたよね。選手とサポーターが喜怒哀楽を共にできるという関係性は理想的で、最高に幸せなことだと思います。引退が発表された時、サポーターとして何を思いましたか?」

 

kuroさん「引退発表は劇的なバースデーゴールの翌日に設定されていたのですが、事前に内容は明かされていませんでした。ですが、憲剛が会見をするとわかりその表情を見たときにこれは引退発表しかないと悟りました…泣きながら会見を聞き放心状態になっていたぐらい、本当に突然でショックな出来事でした。まだ出来るのに何故?大怪我から復帰してきたのになぜ今なのかと納得できない気持ちばかりが浮かんできました。ですが、憲剛が何年も前から決めていたこと、必要とされる選手であるうちに引退したいと思っていたことなど、以前から堅い決意があったことを聞いて、時間はかかりましたが、それなら憲剛の意志を尊重して感謝の気持ちを持って送り出そうと思うようになりました。」

 

リセル「サポーターからそれほどまで慕われている憲剛選手は幸せ者だな、と一瞬思いましたが、きっとそれも憲剛選手自身の功績ゆえなのかもしれませんね。結果を出してきたことはもちろんですが、サポーターにこんなにも愛される人柄、人間性も功績のひとつだと思いました。だからこそサポーターは引退発表に戸惑い、涙し、それでも受け入れて送り出すことが出来るのだと。結果を出してタイトルを手に入れることはもちろん幸せなことですが、憲剛選手を思うフロンターレサポーターさんを見ると、何か今シーズンの結果以上の幸せを感じているように思えます。甲府にも憲剛選手の同い年で、今年在籍19年目を迎える山本英臣選手がいて、憲剛選手のような華々しい経歴ではありませんが『当たり前のようにいてくれる』幸せを今年は特に感じました。去年の甲府は目標を達成できませんでしたが、オミさんの存在自体が甲府サポの幸せであるので、フロンターレサポーターさんの気持ちがわかります。」

 

kuroさん「そうですね、奢ることなく自分を客観的に捉え、社会的な立場をきちんと理解して発言、情報発信されているのも尊敬する点ですね。昔SNSがなかった時代を思うとこの距離感は本当に有難いです。甲府における山本英臣選手のどっしりした存在感も確かに通じるところがありますね。オミさんの長年のプレーへの高いプロ意識、周囲への細やかな配慮、そして『当たり前のようにいてくれる』精神的支柱としての存在が甲府サポさん達の幸せであることにとても共感します。あの柔らかな表情に年輪のように積み重ねられた経験と豊かな人間性が感じられる素晴らしい選手ですね。」

 

リセル「ありがとうございます。コロナ禍で「当たり前の幸せ」を実感した一年でしたが、チームのバンディエラの大切さを感じた一年でもありましたね。」

 

 

◆2021シーズンの展望

 

リセル「フロンターレの移籍動向はどのようになっていますか?」

 

kuroさん「現時点(※1月5日時点)では、大分から小塚和季選手、松本山雅から塚川孝輝選手の加入が発表されています。中盤の攻守のバリエーションが増えるのが楽しみですね。小塚選手は甲府にも在籍していたんですね!活躍を楽しみにしています。他にも、期限付き移籍していた知念慶選手、遠野大弥選手、宮城天選手たちFW陣が復帰してくれるのも嬉しいです!今年はACLがあるので更なる攻撃力アップを期待したいですね。反対に、移籍して行く選手もいるので、毎年のことながら寂しいですね…下田北斗選手が大分への移籍が決まったのですが、FKやパスの精度に加え、真面目で人の良いところもサポーターに人気がありました。下田選手も甲府に在籍していたんですね!大分のサッカーにフィットしてぜひ多くの試合に出て活躍してほしいです。頑張れホクト!」

 

リセル「レンタル組が力と自信をつけて帰ってきてくれるのは嬉しいですよね。『強いクラブはいくらでも選手を引き抜けて、別れが少ない』なんていうイメージがありますが、どのクラブも契約満了はありますし、移籍もあります。主力選手は海外移籍もあり得ます。寂しい思いはどのクラブにもありますよね。下田選手は大卒で加入し2年間在籍していました。甲府を離れてしばらく経つのですが、何かいつも気になる選手です。小塚選手の『エロい』とも言われるスルーパスは必見です!(笑)今年のフロンターレはどのようなチームになると思いますか?」

 

kuroさん「今年は他チームがさらに研究・対策を進めてくることが予測されるので、去年のような結果を出すにはその上を行く戦力アップが必要になると思います。憲剛選手が抜けた影響も気になるところですが、そこはキャプテン谷口彰悟選手が『憲剛さんから卒業して、さらに進化したフロンターレを見せたい』と天皇杯優勝のスピーチでも宣言していたので、新生フロンターレにぜひ期待したいですね!また誰か新しいヒーローが出てくるのか個人にも注目したいです。そして結果ももちろん大切なのですが、コロナ禍、J1チーム増、ACL参加と今年も過密日程になるので、その難局をメンバー全員で乗り越えてほしいですね。闘将鬼木監督の采配は的確で選手のモチベーションを上げるのも上手いと思うので、その手腕にも期待したいですね。」

 

リセル「昨年最強を誇ったメンバーに新たな戦力が加わり、鬼木監督のマネジメントも健在で、他サポながら今年もフロンターレがどこまでやってくれるのか、すごく楽しみです。では最後に、フロンターレサポーターとして今シーズンの意気込みをお願いします!」

 

kuroさん「チームや選手で掲げる目標の達成を願うと共に、地元のサッカークラブを応援できる幸せに感謝して一試合一試合を楽しんで応援したいですね!今年もリセルさんのアクセサリーを身につけて等々力に行きますよ!」

 

 

◆今週のナンバー

 

リセル「では最後にkuroさんが選んだ一曲を紹介してください。」

 

kuroさん「それでは、SHISHAMOの『明日も』をお願いします。この曲は、SHISHAMOさん達が等々力で観たフロンターレの応援に感動して生まれた曲と聞いています。実際に3人で等々力に応援に来られていることもありますね。PVも等々力陸上競技場で撮影されているという拘りです。この曲はいろいろなシーンで流されるのですが、昨シーズンは試合前に選手映像と共に流されていて、サポーターは手拍子で試合開始へ向けて気分を高めていました。イントロを聴いただけでもうるっときてしまう、フロサポにとっては感情を揺さぶられる名曲です!今年も等々力でたくさん聴きたいですね。」

 

リセル「kuroさん、ありがとうございました!リーグ戦・天皇杯連覇、ルヴァンカップ優勝、ACL制覇を楽しみにしています!」

 

kuroさん「ありがとうございます!甲府さんのJ1リーグ昇格も応援していますよ!」

 

リセル「ありがとうございます!」

 

◆◆◆

 

 それでは今週はこの辺りで失礼します。また来週お会いしましょう。リセルでした。

Writer:リセル

ヴァンフォーレ甲府とミサンガ作りと文章を書くことが好きな自由人。「Jサポライター部」、Jリーグのハンドメイド作品が集まるサイト「Jサポハンドメイド部」、両サイトの管理人をやっています。まだまだJサポ歴が浅いので、Jリーグのことをもっと知りたいです。