ヴァンフォーレ甲府ゴール「後」シーン集2019

2019/12/05 Writer:リセル

 ヴァンフォーレ甲府の2019シーズンが終わった。

 目標のJ1昇格は叶わなかったが、今シーズンは例年以上に熱い戦いぶりを魅せてくれたように思う。

 そこで今回は2019シーズンのリーグ戦全64ゴールの中から、筆者が特に印象に残ったゴール「後」の名シーンをいくつかの項目に分けて紹介したい。

 なぜゴールシーンではなくゴール後のシーンなのか。それは今シーズンの甲府は、得点後にピッチ上にいる選手もベンチの選手も監督も、みんなで集まって喜ぶシーンが非常に多く、筆者自身そういったシーンがとても好きだからだ。もちろん今季は得点が例年より多かったこともあるが、それでも甲府の一体感をいつも以上に感じることが出来た。

 一体感の象徴であるゴール後のシーン、その時の嬉しさや楽しさといった感情を少しでも読者の方と共有できればと思う。

◆次から次へと駆け寄る

 2019シーズン初勝利となった第2節アウェイ山口戦。

 試合開始早々にピーター・ウタカ選手の2点目が決まると、ウタカ選手のもとに甲府のフィールドプレイヤー全員が次から次へと駆け寄り祝福する。

 開幕戦はスコアレスドローで、今年の甲府の雰囲気はどうなんだろうか?と少々心配していただけに、このシーンを見て筆者は安堵した。

◆得点者:伊藤彰監督

 今シーズンから監督に就任した伊藤彰監督。練習中に厳しい檄を飛ばすこともある熱い監督だが、試合中も熱い。得点時はさらに熱い。

 まるで監督自身が得点したのかと思うくらい全力で喜ぶのだ。叫びながらガッツポーズをしたり、両手を広げて走ったり、ジャンピングガッツポーズを決めたり、もはやスタジアムにいる人の中で一番喜んでいるのではないだろうか。

 2012~2014シーズンに甲府の監督を務めていた城福浩監督(現・サンフレッチェ広島)を彷彿とさせる、このほとばしる熱さ。来シーズンも伊藤監督は続投とのことで、来年も伊藤監督が全力で喜ぶ姿を沢山見たいところだ。

◆自ら決めて、自ら祝う

 第29節アウェイ千葉戦の4日前に第一子が生まれた、在籍3年目のエデル・リマ選手。「千葉戦のゴール後には揺りかごダンスだ」と甲府サポも息巻いていた。

 そして、千葉戦で先制点を奪ったのはなんとリマ選手本人だった。リマ選手が甲府のゴール裏に駆け寄ると、甲府のフィールドプレイヤーもベンチメンバーも集まり、リマ選手の第一子誕生を甲府サポと共に揺りかごダンスで祝う。

 駆け寄った選手が大人数だったためか、一列になりきれておらずダンスも揃っていないが、その「みんなで祝う」というところが甲府らしさなのかもしれない。

◆得点者のもとに内田健太あり

 今シーズン加入した内田健太選手。

 一見かなり怖そうだが、甲府が得点を挙げると満面の笑みで得点者のもとに駆け寄ることがとにかく多い。ゴール後の歓喜にはだいたい内田選手が映り込んでいる。

内田選手も今季3ゴールを決めているが、自身のゴール時より他の選手がゴールした時の方がより喜びを爆発させている。また、喜びのあまり得点者の頭を勢いよく叩くことも多い。

◆マイベストゴール後シーン

 筆者が一番好きな今季のゴール後シーンは、第26節ホーム町田戦の小柳達司選手の得点である。

 小柳選手の得点をアシストをした内田健太選手が、小柳選手とハイタッチした直後にものすごい勢いで小柳選手の頭を叩きまくる。小柳選手は叩かれながらもベンチメンバーのもとへ駆け寄ると、今度はベンチメンバーや出場しているフィールドプレイヤーから頭を叩かれ、もはや小柳選手が映らないほどもみくちゃの状態に。画面の左端では、小柳選手を叩こうと手を伸ばした横谷繁選手が、手が届かないと判断して近くにいた無関係の森晃太選手を叩くなど、選手が入り混じってもう何が何だか分からない。極めつけは、そんな歓喜の中心に駆け寄ってきた伊藤彰監督が小柳選手の頭を両手で掴んで髪をわしゃわしゃと乱す。

 この試合は3試合勝ち無し後で、前半も無得点だったためにスタジアムに重苦しい空気が漂っていた。その中でのこのゴール、サポーターももちろん嬉しかったが、チームとしても相当嬉しかったのだろう。そんな歓喜とチームの雰囲気の良さがひしひしと伝わる名シーンだ。

 以上、筆者が選んだゴール後シーンを紹介した。

 ゴールシーンばかりがピックアップされがちだが、その直後の歓喜の様子もサポーターにとっては嬉しいものだ。

 最後に、甲府一筋17年、現在はヴァンフォーレ甲府のアンバサダーである石原克哉さんがInstagramに投稿した際に添えたコメントを紹介したい。

 

 “みんなで喜べるクラブは強いよね。“

 

 このメンバーで試合をすることがもう無いと思うと寂しく、来年の甲府もみんなで喜ぶチームであることを願ってやまない。

Writer:リセル

ヴァンフォーレ甲府とミサンガ作りと文章を書くことが好きな自由人。「Jサポライター部」、Jリーグのハンドメイド作品が集まるサイト「Jサポハンドメイド部」、両サイトの管理人をやっています。まだまだJサポ歴が浅いので、Jリーグのことをもっと知りたいです。